CAFLR 4WD


このマシンは、ジャパンマイコンカーラリー競技会か開催する マイコンカーラリーという競技に参加するためのロボットです。

簡単に説明すると、この競技は黒いフィールドに描かれた白線をセンサーで認識し、 その上をなぞって走り、タイムを競う車タイプの競技です。
詳しいルールは上記のリンクにあるルールを見てください。
ただの直線や曲線だけでなく、直角カーブや車線変更もあるハイレベルな大会になっています。
また、完走率はどの地区大会でも40パーセントを超えることはほとんど無く、完走できることが ひとつのステータスとなりつつもあると自分は考えています。

このCAFLR 4WDは06/12/09に行われた南関東地区大会に参加しました。
先に結果を発表すると、第1走が24.30秒、第2走が21.91秒で見事二度の完走にこぎつけました。
全体の結果としては参加台数52台中完走19台のうち13位という結果となりました。


前回作成したCAFLRを高速化した結果、
・クランク直前のブレーキ力不足
・高速コーナー時の横転
・ステアリング部のガタ
・モーター駆動回路の消費電流
などの問題が深刻化しました。特にブレーキ力不足は、後輪駆動の二輪駆動のため、 ブレーキすると後輪が空転してしまい、どうにもブレーキがかからないというもので、 マシンの構成を変えない限りは解決できないものでした。
また高速コーナリングでは重心が高いせいで横転するという事態に陥っていました。
さらに改造に改造を重ねた結果、ステアリングを含め可動部にガタがかなりありました。
駆動用回路含め、回路の消費電流がなんと600mAを超えており、CPUのリセットを引き起こしやすく なっていました。
このうちのコーナリングの横転を避けるため、今回のマシンでは徹底的な低重心化を図りました。 見てのとおりの低重心です。
また、ブレーキング対策として今回は名前のとおり4WDを採用して前輪で強力なブレーキをかけられるようにしています。
また重量が750g前後と軽量なため、必要なトルクも少なく、確実にブレーキできます。


マイコンには大会指定のH8/3048を使用しています。
マシン左側の一番上の基盤には、スタートバー検知用のPSDセンサー(SHARP製GP2D12)と、 ステアリング角検知用のポテンションメーター(ALPS製RDC506002A)が設置してあります。
ところがこのPSDセンサーが曲者で、かなりノイズをばら撒きます。 距離の測定は一定周期でおこなっているらしく、電源電圧にはパルス性のノイズがのります。 ほぼ同じようなパルスが出力電圧にも載ります。そのためセンサー直近に低インピーダンスの 電解コンデンサーと積層セラミックコンデンサーを配置、基盤のコネクターまでを ポテンションとは別配線にして電源供給しています。そのおかげでポテンションにはほとんど ノイズがのらなくなりました。
ポテンションは特に何もせず、電源ラインにコンデンサーを入れているだけで、 ADコンに直接つないであります。
そのすぐ右にあるのがH8基盤で無改造で使用しています。P7は各種アナログセンサー用に、 PAは速度指定用16進スイッチ&状態表示用LED用、PBはモーター制御用に使用しています。
このH8基盤の下にモータードライバーが入っています。


駆動部はマイコンカーの神様の一人junさんの方式を使用させてもらい、 アルミ押し出しの角パイプにフライスで23.6mm程度の穴を開け、モーターをはめ込んでいます。
ギヤ比は8:60なので1:7.5となっています。
これはRE260モーターの外周部分とフランジ付ベアリングのフランジが干渉しないぎりぎりのサイズで モーターパワーとの兼ね合いを考え決定しました。
ギヤは3mmの穴が開いているのですが、4mmに拡張し、4mmのシャフトを通し、2mmのスプリングピンで固定しています。
当初いもねじで固定しようと考えていたのですが、樹脂ギヤのため締め付けたときにギヤが変形してしまい、 噛み合わせが悪くなってしまったので、ピン固定に変更しました。
タイヤ側はラジコン用の六角ハブを使用しピン固定で固定しています。 こうすることでほとんどのラジコン用タイヤを使用できるので製作後の実験の幅が広がります。
またギヤボックスはCFRP製1.1mmのシャーシに固定しているだけです。ところが走行実験しているうちに 高速コーナリング時にシャーシが変形し、内輪が浮いてしまう現象が発生しました。
そこで、ギヤボックス上部に左右のギヤボックスをつなぐバー(実車でいうタワーバーのようなもの)を取り付けました。
この効果は絶大で、今までタイヤの内側がよく使われていたのに対し、タイヤ全体が使用されるようになりました。


真後ろより。
右のシャフトだけ金色していますが、これはシャフトのダイス切りをやりすぎて、 六角ハブを取り付けると傾いてしまうという問題がおきたので、内径4mm、外形5mmのパイプを通して 六角ハブを安定させています。六角ハブは従来5mmのシャフトに取り付けられているので、 これでかなり安定します。
あとシャフトの抜け止めは、端面に2mmのタップを切ってワッシャーをはさんでねじ固定してあります。
ギヤボックスに使ったのは近所のホームセンターで買った10mm×30mmの角パイプで肉厚は1.2mmです。
この写真を見てよくわかりますが、タイヤ幅は他のマイコンカーに比べかなり細い25mmとなっています。
これは単に自分の好みの問題で、太いタイヤが嫌いだからです。
ただこのタイヤでも秒速4mmほどを出してもコーナーでコースアウトすることはありません。
クランクや車線変更がクリアできていないので、現在はそんな速度出していませんが。
モーターを見ると角パイプの底面ぎりぎりに設置されているのがわかると思います。 底面とは0.2mmの隙間しかないように設計してあります。このような徹底的な低重心化がこのマシンのポイントです。
ちなみにスポイラーのように生えているのは、CPUボードとの通信用のコネクタです。
通常のコネクタが取り外しにくいのでΦ2.5mmのステレオコネクタに交換してあります。


続いて前面です。
前輪周りも後輪とほぼ同じ設計となっています。
ただ、ステアリング機構があり、ギヤボックスがシャーシより1mm高いところについている関係で、 車軸が後輪よりも1mm低いところについています。
ステアリングは見てのとおりのアッカーマン方式です。といっても、完全なアッカーマンではなく、 擬似的なものです。ProjectMCXさんで公開しているエクセルの計算シートで計算しました。
駆動用モーターの間に見えるのがステアリング用モーターで並木精密宝石のSCL12-22です。
直径12.5mmしかないのですが、かなりのパワーを秘めたモーターです。 ただ、ギヤボックスを含めた長さが長いのが難点で、取り付けに苦労しています。
上部に伸ばしてしまえば楽ですが、重心が高くなる上にかっこ悪くて仕方ありません。
そこでシャーシを貫通させ、坂で接触しないぎりぎりまで端面を下げて設置してあります。
ステアリングはこのモーターのギヤボックスの出力からさらに一段減速してあります。
減速後の100枚歯のギヤにセンサーノーズ、ステアリングロッドを取り付けてあります(下の写真参考)。
このギヤとモーターの取り付け部は5mmのジュラルミン製です。強度的にはこんなに分厚いものは必要ないのですが、 ステアリングギヤの取り付けに悩み、5mm厚だと表裏からベアリングを挿入できるので簡単に両持ちの 構造ができるため採用しました。一応大きめの穴を開けて軽量化しています。
このアッパーデッキ自体はシャーシと3本の長いねじで固定されています。


ステアリング周りのアップです
白いギヤがモーターからの出力になります。
ギヤボックスとステアリングギヤはアジャスト式のロッドでつながっていますので、 トー角調整が自由にできるほか、直進性の設定も自由にできます。
マイコンカーではあまり注目されていないようですが、プログラムだけでなく、このようなステアリング部で オーバーステア、アンダーステアの調整ができます。これはラジコンや実車からの知識ですね。
特にトー角は重要で高速時にコーナーでアンダーステアでコースアウトしていたものが、 調整後には後輪を滑らせてコーナリングするようにもなります。さすがにそれはやりすぎですが、 それほど効果があります。ただ、これを定量的に設計するのは大変難しいので、 実際に走らせて一番マシンにあった特性の場所を探します。


さらに前部より。前輪にはキャンパー角が強めについているのがわかると思います。
最初に作ったときにはキャンパーは0度でしたが、タイヤを見てみると、 どうも外側がおもに接触しているようでした。確かにやわらかめのタイヤを使用しているので、 コーナリング時には外側しか接しないようです。
それではコーナリング時にグリップ力が低下してしまいますので、 ちょうどいいようにキャンパーを変更しました。これまた効果絶大で、先のタワーバー追加により 後輪のほうがグリップが勝っていたのですが、ほぼ同等となりました。


センサー部です。表にはガムテープが張ってあります。
これは南関東大会の試走時にクランク直後の何もない黒い路面で明らかに白線と読み間違えるという 動作を繰り返していたため、外乱を考え施した処置です。
やはり水銀灯というのはパルス性のノイズを出すというのは本当のようですね。
練習は蛍光灯化でしか行っていませんでしたから。
肝心のセンサーはSHARP製のGP2S40ですね。これにした理由はjunさんから教わったため、 というのもありますが、手持ちにあったからというのが率直な理由です。
センサー部の実験では秋月で売っているレンズ付のフォトインタラプタでも 問題ない性能を発揮していました。ちなみにレンズははずした状態です。
抵抗はLED側が100Ω、アナログセンサー側のフォトトランジスタは5.1KΩ、デジタル側は10KΩです。
この状態でLEDには定格ぎりぎりの電流が流れるので、結構あったまります。 そのため、あったまる前と後で結構出力電圧が変わってきます。
電源を入れてから最低でも20秒程度はおかないと電圧が安定しないですね。
そのため実際に走らせるときにはさっさと電源を入れて場所を決め、 スタート直前に初期値設定していました。


マシンの裏面です
上でも書きましたが、低重心化にこだわっているため、電池はシャーシに穴を開け、落とし込んでいます。
電池だけで180g近くあるのでこれが1mm下がるだけでも効果があります。
また、前輪の少し後ろの真ん中あたりに白く見えるのが、ステアリングモーターのお知りです。
シャーシの切り出しにはPROXONの家庭用バンドソーにダイヤモンド歯を取り付け加工しました。 この組み合わせさえあればほとんどのカーボン加工はできるといっても過言ではないと思います。
実際の切り出しには、シャーシにCADの図面を貼り付けそれにあわせて切りました。
バッテリーの穴はカーボン用の糸鋸歯をラジコンショップで入手し、大まかに加工後、ダイヤモンドやすりで ちまちま削りました。それでも問題ない程度の誤差しかありません。
バッテリー部の強度が若干少ないですが、この真上に基盤がつくのでダブルデッキ構造となり、かなり頑丈です。
基盤も通常のFRPですからね。実は強度高いんです。
後部にあるエンコーダーは大会前日に取り付けたため、ちょっと不恰好です。


問題のエンコーダ。
特にばねなどは取り付けず、やわらかいプラ板の弾性で路面に押さえつけています。
エンコーダー自体は千石電子通商で買った16穴のエンコーダ板にミニ四駆のタイヤを取り付けています。
こっちもベアリングなどは使用せず、内径2mmの真鍮パイプに通してあるだけです。
真鍮パイプはハーフピッチスルーホールの基盤に半田付けしてあります。
スルーホール基盤なのでかなり強度はあります。
フォトインタラプタは昔秋月で買った小型のものです。LED側が120Ω、フォトトランジスタ側が10KΩです。
ただこれは煮詰めていないので、立ち上がりなどがきちんとしているか怪しいところがあります。
それでも実際の走行では実用できていますので、おそらく問題がないのでしょう。
なにせ大会前日に取り付けたもので。今後きちんと解析していきます。


駆動回路です。
完全にH8基盤の下に収まるような小型タイプで、モーター駆動機能以外は、 スタート用スイッチひとつと状態表示LEDがひとつしかないスリムのものとなっています。
林立しているのはFETではなく、ロジックを形成するデジタルトランジスタ郡となっています。
この回路にはロジックICを含めICがひとつものっていません。
FETの駆動もディスクリートで組んでいますが、そのおかげで逆に小型が実現できました。
FETには現品.comで1個60円で購入したFDS8958AというNcnPcnがSOP8パッケージに入ったものを使っています。
+7A/-5Aの定格で、今回のマシンにはぎりぎりといった必要十分といった性能です。
それよりもこの回路、実は南関東大会の二週間前にあった大学祭の前日に数時間で設計、 製作した基盤なのです。マシン自体が完成したのが大学祭三日前で、何とか展示するため、急遽製作した基盤でした。
しかし、以外にもその性能が高く、PWMも9.6Vで32KHzが余裕で出せます。
しかもこの小型サイズというものです。
南関東が終わって一息できるので、この回路をもう少し煮詰めたものをエッチングして、 実用回路にしようかと考えています。
現在の回路はハーフピッチのスルーホール基盤に作成したものなのです。
この基盤の切れ端がエンコーダの基盤となっています。

このマシンは自分でもかなり納得できるつくりとなりました。
今のところ、ハードウェアよりもソフトウェアがボトルネックとなりスピードが出せていません。 ハード自体は設計を間違ったこともあり、適正負荷時に秒速7m以上もでるモンスターマシンとなっています。
現在はPWMの最高値を40パーセント程度でもぎりぎり走れるか走れないかというようなスピードしか出せてません。
そのため、しばらくはハードウェアの開発をストップし、ひたすらソフトウェアの開発に力を注ぎたいと思います。
来年の大会にはPWM設定値をあげて参加し、全国への切符を手に入れたいものです。



このページはstrvによって製作されたものであり、著作権はstrvに帰属します。
そのためこのページ内の写真や文章の無断引用、コピーなどを禁止します。
また、コンテンツの関係上、さまざまな会社の製品を取り扱いますが、
それらの会社とstrvは一切関係ありませんので、ご了承お願いいたします。
なお、このページにおいて著作権などの問題がある場合はメールをしてください。対処します。