ヘッドフォンアンプ HA07

低電圧電源のディスクリートヘッドフォンアンプです。
今まで作ってきたものとはちょっと違うコンセプトで作ってみました。
そもそもの発端はnabeさんのページのこの記事。
自分もかねてから疑問だった「ヘッドフォンアンプに電圧増幅は必要なのか」ということにひとつの答えを導いてると思います。 要するに電圧増幅段を取っ払って電力増幅だけしようというアンプですね。
しかもこの記事のアンプは電源が単三電池*2ということで±1.5Vなわけです。 これはお手軽だしポータブルにもなりそう。そんな妄想から今回のアンプ作りは始まりました。

今回盛り込みたかったことは
- 出力段をカレントミラーにする
- 電圧増幅段を設けない
- 信号ラインの部品を減らす
- バイアス電流による音の変化を確認したい
最後のバイアス電流の件はバイアス電流を作ってるCRDを交換できるようにすることで対応しました。 また、CRD以外にもFETが取り付けられるようにパターンを考えたのでFETでバイアス電流(IDSSそのまま)を得ることも出来ます。 が、今回の回路ではカレントミラーの抵抗比が20:1となっているので、2SK170なんかでバイアス流したらあっという間に熱暴走すると思います。 試してないんでわかりませんが。それに抵抗比が20:1といっても電流比はなかなか1:20にはなってくれません。 まぁ、現在のバイアス値なら、というのもありますけど。
後は各トランジスタのhFEはそろえるべき…だと思います。 回路の構成から言うとhFEにばらつきがあってもDCはほとんど出ないはずなんですが。 この回路ではhFEが±1に収まるように選別したところ出力のDCオフセットは1mVもありません。 これは選別よりも回路の恩恵だと思うんですが。 ちなみに本当はVbeとIcの関係も選別するべきだと思いますが、経験的にはhFEがそろってれば大体同じです。
ちなみに初段の負荷としてもカレントミラーを使っていますが、最初はただの抵抗でした。 しかし、カレントミラー負荷のほうが断然キレがよかった印象があったのでこちらの回路を採用しました。 ただ、回路としてはちゃんと動作するので抵抗負荷で簡単に実験してみると面白いかもしれません。 電源電圧が±1.5Vなら抵抗値はR[KΩ]=(1.5[V]-Vbe[V])/bias[mA]で求めます。 Vbeは0.6〜0.7Vとして計算してしまって問題ないでしょう。biasってのはバイアス電流なので10〜40mA程度で考えればよいでしょう。 実際に流れている電流はこの抵抗の両端電圧を測ればオームの法則で確認できます。

今回は実験的要素が大きい&使う場所が大学の研究室に限定ということで、あまり持ち運びのことは考えませんでした。
ただ、前作のおかげであまりお金がないのでケースは秋月の100円ポリカです。ポリカは踏んづけても壊れない頑丈さが好きです。
持ち運びは考えてないにもかかわらず、ケースがそこそこ小さいので配置には相当悩みました。 おかげでボリュームが変なところに追いやられて軸を延長するはめに…ちなみに超ジュラルミンの削りだしとなっております笑
いま考えればもうちっとましな配置があったと思いますが、もう考えないことで。 といっても、この音質はなかなか譲れないのでポータブルタイプも作ろうかと思います。 ポータブルならボリュームがいらない(再生機器で変える)&入力が前にあってもいいのでだいぶお気楽ですね。

これがうわさの基板裏です。基板の利用率はかなり高いほうに出来たんではないかと思います。 高ければいいってもんではない、というかあまりいいことはありませんけど、今回の場合はスペースメリット優先なんで^^;
今回みたいに複数の電池を使って両電源をつくる回路の場合、どうしても2極のスイッチを使わないといけないのが難点ですね。 なかなか2極の小さいトグルスイッチってないんだよなぁ。
最後に音質ですが…
はっきり言って今まで作ってきたどのアンプよりも上だと思われます。
解像度が高いというか。音のキレがいいです。これは電圧増幅しないことが一番きいてるんだと思います。 唯一の問題としてはバイアス電流が大きいので無駄電力消費が大きいことでしょうか。それでも単三電池で動かせるのでかなり電池は持つと思います。 現在初段のバイアス電流が0.8mA(実測)で片チャンネル30mAくらい消費してます。両チャンネルで60mA。 ということは有名なエネループ(2000mAh)なんか使うと2000/60≒33時間となりますね。 実際には電池電圧が0.9Vくらいになると音量が下がってしまうので、もうちょっと短いのかなと思います。
後は上にも書きましたが、これのポータブル版を作ってみたいと思います。 さらに元ネタであるnabeさんのアンプも部品を仕入れてあるので作ってみようと考えてます。